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トクベツ、な想い

第15章 15






「…前より匂いきついから
タバコの量きっと増えてるんだよね…不安に、させてるね…」



気付いてる…そうだよな…


バカの一つ覚えみたいに、それだけでしか自分を抑制できない



「…ごめん」


「ううん…教えてるだけなんだよ?」



…知ってる

あの子が一緒にいるのは…僅かながら先輩である潤から仕事の指導を受けてる為、であって

やましいことなんてない…分かってるよ

他の人だってあの子に教えてるのを見てる

分かってる…

けど…どうしても心が乱れる

やりきれない気持ちに持ってかれる



「今教えてるとこ終わったら、水原さんとは話さないよ」



聞きたくない、その子の苗字ですら
潤の口から放たれてるってだけで気持ちが沈む

無視をされてた頃より断然辛い…

でも、潤を困らせたいわけじゃない



「同じ部署なのに…そんなことできるわけないだろ…」



胸が苦しい

俺がみゆちゃんの名前を出した時、潤もこんな気持ちだったのかな…


潤のワイシャツを硬く握った



「…仕事以外では話さないよ…」



抱き締めながら俺の頭を宥めるように撫でて…心に張り付く不安がほどけていく



「……うん…ごめん…」



感じれる潤の存在が俺を安堵に導いていった



「……ねぇ、翔くん」



「…ん?」



「明日蓮くんとこ行かない?」



「…いいけど」



「良かった、また遅れちゃったけど
報告しなきゃと思って…背中押してもらったからね」



そっか…俺達がこうしていられるのも御越さんのお陰…

でもあのコンドームなんで渡せたんだろ…常に持ってんのかな…



「…さて、続きしますか」


「へ?」



しっとりした雰囲気だったのに、潤の上にあった俺の体が横に倒された

先程とは逆に上が潤になる



「不安とってあげるね」


「え、いや…」


「翔くんが誘ってきたんだよ?」



誘ったというかほぼノープランで
嫉妬と酒の勢いでベッドには来ちゃったけど、単純に潤に触れたかっただけ…

しまった、ここに来たならこうなる想定もしておけば良かった



「ちが…ほら、シャワー浴びてないし…
心の準備もできてないしっ」


「大丈夫…翔くんの匂いはしてた方がいいからそのまんまで」



なんだそれ…

聞く耳を持ってくれない


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