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トクベツ、な想い

第2章 2






「はぁー…今日休みで良かった…」



前髪を上げて少しふくれた額にペットボトルを当てる


冷たさを気持ちよく感じながら
明日には引けてればいいな、そう思いながら目を閉じた










―目を覚ますといつの間にか夕方になっていた


酒は完全ではないがまぁまぁ抜けてる感じがした


少し寝汗をかいていたのでシャワーを浴びにいこうと寝室を出る


通り掛かったついでにソファにあるカバンからiPhoneをとりだすとピカッと光っていた



待田からのメールで
『落ち込むなよー』と書いてあった

松本くんに迷惑をかけた俺の心情を読んでのメールだろうか



「…お前のことで落ち込んだよ」



クスリと笑って
会社で会うしと返信をせず

トイレに寄ってからシャワーを浴びに行った



「明後日はみんなに謝って…待田に色々聞こ」



そうさっぱりした頭で考え

特に休日出勤もないからと
しっかり体を仕事に向けて休ませた










―月曜の朝

いつも通り出勤すると自分の部のみんなから心配された


本当に申し訳ないと1人1人に頭を下げて歩いた



しばらく酒は控えよう…


額のはれ…引けてホントに良かった…




仕事を開始する前に
さっきも迷惑かけたと話したところだが後ろの待田にそっと近寄る



「…彼女いるんだって…?」


「え」


「しかも同棲してるんだって?」


「あー……松本くん言っちゃったのかぁー…」



その反応に少し拗ねたような表情になる



「…いつから?」


「んー半年ちょっと前…から」


「…んで言わねぇんだよー…」


「いやー…ね、…わりぃ」



分かってる


俺が彼女と別れたから気遣ってくれてるのは…



「水くせーな…遅くなったけど、おめでと」


「ん、悪かった…サンキュ」



あえて言わないでくれたのに、拗ねたりして…俺はなんて子供なのだろうか


言われたら言われたで落ち込む癖に…

大人なんだから彼女くらいそりゃできるだろ…


こんなことを言っても一切怒らないで優しく笑ってくれる
歳を重ねているのは待田だって同じなのに、こんなにも違う



見た目は老いて欲しくないけど
考え方は年相応になって欲しい…



大事な同僚だし…友達だし

もっと素直に、喜んであげたかった


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