テキストサイズ

トクベツ、な想い

第17章 17







長い間一緒にいて…なんでそんなあっさり切り替えられるんだよ





こんな結末、あまりに酷い





割りに合わないじゃないか…





それから君は、まるで追い討ちをかけるかのように言ったんだ





"こんなことになるなら待ってれば良かった…

キスも繋がるのも…

良との為に…とっておけば良かった…"





今でも鮮明に覚えてる、泣きじゃくる姿


俺の方が泣きたかった



"なら、なんで俺と付き合ったんだよ…"


"…良に…似てたから"



彼女がいたから

代わりに、疑似体験として…
似てると言われたマネキンを置いて恋愛ごっこ?


じゃあ…なんで似てるって言われてた顔を見なかった…



…分かってたんだろっ



近付いた顔が、性格だって全然似てないって

友達の頃から…



優しいフリして…寂しさを紛らわす為に使ったのか


俺は君のなんだった…



っ…ふざけんなよ



俺には幸せに思えた時間が、全部無駄な時間にすりかわってくじゃないか




"…幸せになってね"


そう合鍵を握らせて出ていってしまった


その場で崩れ落ち、本気で泣いた


文字通り枯れるまで流れ落ちて来ないほどに







後日、付き合った期間で俺が彼女に送った全てのものがマンションに届いた


古く、小さなものまで細かくあって笑った



壊れたように彼女の全てを捨てていった














アクセサリー









彼女が使った包丁











部屋に残る痕跡











空気















…指輪















思い出さえも捨ててやった











ぜんぶ












全部














全部…っ全部
















すべて













ストーリーメニュー

TOPTOPへ