トクベツ、な想い
第17章 17
「…ちゃん、翔ちゃん…」
目の前で申し訳なさそうな表情をする雅紀
「……電話終わった?」
微笑んだつもりだった
「うん…ごめんね、翔ちゃん…嫌なこと思い出したんだね」
雅紀が嗚咽を混じえながら泣く
どうした…?
「翔さん…」
ハンカチを差し出すニノ
あぁ…俺はまた無意識に…
そっと頬をそれで拭いて、濡れるのを見ると本格的に涙が出てきた
「っふ…う…」
「大丈夫、翔さん…俺達がいるよ…」
2人には話していない、振られたとしか
勘の良いニノは気付いているように俺の背中を擦って
雅紀は俺の痛みを感じ取り、目の前でくしゃくしゃの顔をして泣く
2人の友情にまた涙が溢れ出た
その後の2人のことは分からない
知りたくもない
連絡はないし、こっちからも…するはずない
5人でいた仲が分裂してしまって、ニノと雅紀には申し訳ない思いでしかない
ごめん
ごめん…
…恋愛感情が世の中に存在しなかったら、ずっと今もいれたのかなって
幻想に過ぎないことを美咲がいなくなった直後は思って
みんなでいたのが果てしなく遠い昔のよう
もう壊れて後戻りなんて叶わない