トクベツ、な想い
第17章 17
「翔さん、大丈夫?俺達…定期的にでも来ようか?」
「そうだよ…心配だよ翔ちゃん」
「悪い、だらしないとこ見せて
今ちょっと…仕事に追われてストレス溜まってたから…もう大丈夫」
実際、2人がいてくれたことによって
泣きながらもちょっと救われたような気がしてた
何もお構いできなかったけど…呼んで良かったな…
「…無理しちゃダメだよ?
翔ちゃんの為ならいつでも駆けつけるからね!」
「雅紀は修行頑張らなきゃだろ?でも…ありがとう」
「……じゃあ、行くね…」
ニノは何か言いたげだったけど
ドアを支えながら見送る俺を背に、2人は帰っていった
ー祝いたかった潤の誕生日が過ぎ…ちっとも暑さが収まらない9月
俺と葵ちゃんは会社でちょっとした話題になってる
女性社員の中では
ほぼ狙い通り彼女は俺をものにしたと…何人か悲しむ女子もいて
男性社員は、現彼女より葵ちゃんを取ったと蔑む批判と罵声を陰から投げる
俺に付き合ってる人がいたことを、なんで知ってたのかは分からないが…
みんな口々に、本当のこととちょっとした嘘も混じえ噂を広めていってた
「まぁ…モテ男なら誰しもが通る道じゃね?」
「…俺といたらお前もとばっちり食らうぞ…」
「俺は別に女子に悲しまれることないし
男になんか何言われたって痛くもなんともねぇし…んな、つれないこと言うなよー」
短い休憩時間中、このこのーっと俺の腕を肘でつつく笑顔の待田に鼻がツンとした
「櫻井さん、いつものとこで待ってますから」
この子とは毎日一緒に帰っている
今日も俺を逃がさない為に釘を刺す
昼は渡される彼女の弁当を少し食べて
休みの日はくる連絡に、3回に1回くらい従って軽く買い物したり…
逃げたくても逃げる気力もなく、完全に振り回されていた