トクベツ、な想い
第17章 17
「言葉にしないと分からないことっていっぱいあるわ…
ひとつになるって行為があれば、言わなくても伝わる時があるけど…
その子の時は潤ちゃんにどんな行動したかしら?」
「……拒否して…平気な仮面被って…
…悩んでる姿を…見せてただけ…」
「その行動はどうだったの?」
「…潤が…出ていった…」
蓮くんが悲しい顔をした
「…いい行動ではなかったわね
じゃあ悩んでる姿に悩んでる言葉を付け足したら…どうだったのかしら…」
「…そんなことしたら」
「潤ちゃんは自分を犠牲にして、その子のところに行くの?」
即答できなかった
自分でそう思ってたのに…
本人には確認してないから…ホントはどうなんだか
そういう言葉がでるんじゃないかって怖くて
…俺の勝手な思い込み…
「潤ちゃんはなんで過去の話をしたのかしらね?
苦しそうな思い出、言葉…言わなくても良かったのに…
それでも言ったのは
過去も今も全部含めて自分を見て、知ってほしい…それほどまでに翔ちゃんが好き
そういう意味を込めて、話したんじゃないかしら?」
話してる時の潤の顔を思い出す
きっと身を削る思いで…
心が痛かった
「潤ちゃんは翔ちゃんから離れないで闘ったと思うわ
でも、翔ちゃんは話さないことが…守ることだって思ったのよね?」
「…違う…離れてほしくなくて…俺は、自分の為に…っ…」
「いいえ…潤ちゃんの未来を考えたんでしょ?
ちょっと間違った方向に行っちゃったけど、心掛けはとても素敵だわ…」
蓮くんがワイシャツの上から俺の心臓辺りに手のひらをつける
「人間って不完全よね…
なんでここに相手の気持ちを読み取る機能をつけてくれなかったのかしら
あれば、喧嘩だって犯罪だって戦争だって…無かったかもしれないのに…
…翔ちゃんと潤ちゃんがこうなることもなかったかもしれないのにね…」
「……っう…く…」
ごめん…
ごめん潤…
俺はどうしようって動揺するだけで、バレたって怯えるだけで
構える行動さえしなかった…
ちゃんと話してば、バレたこともとられるって心配も
潤の笑顔が吹き飛ばしてくれたのかもしれないのに
今一緒に闘えてたかもしれないのに…
何、彼女のせいにしてんだ
俺が……関係を壊したんじゃないか…