トクベツ、な想い
第18章 18
「翔くんと同じようにされた人…たくさんいたんだ
脅し、略奪、結婚詐欺…
最初はただ話を聞いてただけなんだけど…
警察が動いてもおかしくないようなことしてたみたいだからちょっと探ってた」
読み終わるなり、彼女はビリビリとその紙を破いた
「あ、それコピーだから」
「…元を出しなさいよ」
「そっちも出しなよ、パソコンにもあるんだろ?」
なんでそれを…
「…脅す気?」
「あんたがしてきたことだよ」
「偉そうにしないで…同類じゃない…」
「一緒にすんな、俺は守る為にやってんだ
奪ってるだけのやつに言われたくない」
俺の手が潤の手に包まれる
もう最後なのかもしれないけど
2度とないと思ってたから…嬉しい…
離したくない…
「なんなの…男同士のくせに…気持ち悪いわよ」
「あんたがどう思おうが、理解してもらおうなんて思ってねぇよ」
「…2人に乱暴されたって上司に言うわよ?」
「言えばいいじゃん」
淡々と言っていたけど
顔は真剣そのもので、覚悟があって言ってることが伺えた
「なんで…なんでそこまで…」
「教えない」
優しく微笑んだ顔が俺に向けられる
勝手に涙が流れた
もうホントに涙腺弱くなったな…
「被害にあった男の人も…その人の彼女さんや奥さんもあんた恨んでた
自分の蒔いた種だよ、どんな人生を歩んできたかなんて知らないけど
この先変わりたいって思うならその人達のところに行って、ちゃんと謝るんだな
許してもらえるかは分からないけど…
愛してもらいたかっただけなんだろ…?」
最後の言葉に、立ち尽くしていた彼女が声を上げて泣き崩れた
それをぼやつく目で見ていた
横から俺の涙を潤の指が拭う
触れる温かさに愛しさを感じて…
見つめてくる潤がただただカッコよくて…
繋がった手に一層力を込めた
「行こ?」
手を引かれ、ドアを開いた時
「…いらないわよ、そんな男…」
か細い声で最後に彼女が言い放った
何も言わずに俺達は出たけど
歩きながら"やらねぇよ…"と潤が呟いたのを俺の耳は拾った
なんだこの展開は…
さっきのは…
今のこの状況は…
いつから俺が脅されてるって…
あの紙は一体