トクベツ、な想い
第18章 18
クローゼットの収納ケースから服を漁って着ていると
1枚の紙が、俺の脱ぎ捨てたワイシャツやズボンの下から見えた
仕事の紙かなって手に取ると、上から下まで潤の字で真っ黒だった
良く良く見ると悲惨な言葉とちらつく葵ちゃんの名前
「これ…潤が見せてた、被害者の人の…」
「そうだよ」
気配もなく潤が後ろにいた
俺の横からケースに手を突っ込み服をとると
「これは聞いて回ってた時のメモ書き」
微笑みかけながら上と下を着て
俺の部屋から出ていった後の真相を話しだした
あの時からどうもおかしいと調べていたらしい
まず彼女のことを知る為
うちの社員の噂を元に、前の会社に行ってみたら
脅しというワードを語る数人の男性がいて
今も弱味を握られているからと深くは聞けなかったそうだけど
その人達の話から俺も脅されているんではと勘づき
他に勤めていたところでも同じようなことが聞けて
これはただ事じゃないと情報を集めていたんだそうだ
実はそこに倫さんも加わってた
それがなぜかと言うと、彼女と高校が一緒だったんだとか
同じ学年ってだけだったけどその頃からいい噂は流れてなかったらしく
潤から聞いた時、協力すると自ら情報の収集に力を注いでくれたみたい
そして蓮くんは…知らなかったそうだけど
昨日、俺が帰った後に潤の部屋を訪ね
俺から聞いたことを伝えたらしい
「本当はもっと証言集めて話すつもりだったんだけど…ラブホに連れてかれそうになってたなんて聞いたら耐えられなくなって…
翔くんがあの子と倉庫室に入ってくの見えたから咄嗟に…」
「…知らなかった…」
「…ごめんね…あの子しぶとそうだったから負かすものがないとダメだろって情報収集に時間かけちゃって…無視までして翔くん放置しちゃって…
俺がもっと注意してれば…1人で、辛かったでしょ…」
顔を曇らせる潤に、首を振った
「俺が話さなかったからいけなかった
謝るのは俺だ、ちゃんと話してれば…ごめん…ごめん…」
深く頭を下げると潤が力一杯俺を包んだ
「…翔くんが戻ってきてくれて良かった…」
「俺も…潤とはもう終わったと思ってたから…すごい、嬉しい…」
「どこにもいかないで」
「…いかないよ…」
しばらく温もりを感じ合った