トクベツ、な想い
第18章 18
「…なぁ、あの子に言った…愛されたいだけって、なんだったの?」
「なんか家庭が複雑で、愛に飢えてたみたい…」
「…そうなんだ…」
それを聞くとなんだか同情してしまいそうになるけど
だからってこんな方法間違ってる…
相手だって…自分だって苦しいだけだろ…
身勝手に想い合ってる人達を引き裂いてほしくない
もうしてほしくない…
「更生…できるといいな」
「…翔くんは優しいね」
「こんなこと言うのもおかしいけど…あの子のお陰で気付かされたこともあるって言うか…」
「…そうだね…」
ふと、録音しておいた動画を思い出した
潤の胸板に両手を置いて、優しく押しお互いの顔を見えるようにすると
「…潤の今の気持ち、知りたい…」
手のひらで鳴る鼓動は何を言ってるんだろう…
潤の言葉で聞かせて欲しい…
「…今…幸せだよ…翔くんが目の前にいて…」
俺の手の上に、潤の手が添えられて
埋まるんじゃないかってくらい心臓に向かって強く押された
「好きだよ…
きっと見た瞬間から…今も、この先も
色んな翔くんを見る度に好きって気持ちが溢れて…膨らんで…でも限界なんて全然こないんだ
…自分でもどうしていいか分からないくらい
大切な存在だよ…」
「…っ」
…ダメだ、泣くな
唇をぐっと噛んで潤から一旦離れると、リビングに行きカバンの中を探る
見付かったiPhoneを持って操作しながら戻り
タップすれば再生できる状態で潤に手渡した
「…何?」
「聞いて…」
それだけ言って寝室を出ようとしたが
「翔くんっ…」
腕を掴まれて足を止めた
「…そこに…俺の気持ち入ってるから…」
「…え」
「会えないと思ってたから…ホントはメールにでもって…
終わるまでリビングにいるから」
「待って…一緒に」
「へ?」
「一緒に聞こうよ」
座ってる潤の足の間に、俺の体がすっぽり収められ
再生ボタンがタップされた
「は、恥ずかしいって!」
「シー…」