トクベツ、な想い
第19章 19
「…いつも食べてる人達は、いいの?」
「んー特に問題なし」
「いいなー仲良くて、俺も混ぜてくれよお」
「はは、待田さん面白いっスね」
わきゃわきゃ話す様子に
不思議と嫉妬心なんか出なくて、交互に会話に混ざりながら食を進めた
「葵ちゃん辞めちゃってEA部大丈夫?」
「大丈夫じゃないっスか?」
「1人減ると大変じゃない?」
「まだ新人だったし、仕事もそこまでこなしてたわけじゃないし…不自由してないですよ?」
「お、イケてる顔してキツいこと言うねー」
「ははは」
目…目が笑っていません…
その話題やめてあげてー
居た堪れなくなって、待田がまた口を開こうとした時
「あのさっ」
それを塞ぐ為に言ったけど…考えがあったわけじゃない
答えを待つ2人に
「今度からさ…この3人で食べない?」
そんな言葉しかでなかった
「お、いいね、イケてるトリオ結成」
待田が潤に向けてキメ顔してるのを笑って見てたけど
心では、単純なやつで良かったーと安堵してた
会社の帰り道、前を歩く潤を見付けて駆け寄った
「お疲れ」
「あ、翔くんお疲れー」
にっこりと笑い合って同じマンションを目指す
「良かったね」
「ん?」
「あの子いなくなって
あんまり良い言い方じゃないけど、翔くんを脅しで傷付けた人だから…」
「うん…正直、俺もホッとしてるよ」
「本気で好きだったみたいだし…」
「え?」
「…ん…またなんかあったらたまんないしって」
あれ、さっきと違うような…
でも確かに
またあんなことがあったら…
「…だけど俺達にも非はあったよな…
更正して幸せになってくれたらいいな…」
そうだねって優しい眼差しが向けられた
俺の部屋に2人でなだれ込む
「っは…」
ドアを閉めて数秒、玄関の壁に押されて情熱的に唇が奪われた
クチュッと音を立てながらワイシャツのボタンが外されていく
「ん…っ待って」
「欲しい、翔くん」
「シャワー浴びたい…」
「一緒に入る?」
「…今日はやめとく」
残念顔をしてそっと離れていった
この雰囲気のまま行ったら
絶対風呂場でヤられる…明日に支障が出る…