トクベツ、な想い
第19章 19
忘年会も終わって、一緒に年を明けた
色んなことがあった去年
嬉しいことも悲しいことも…たくさんの感情の体験を一遍にして
それが良かったのか悪かったのかなんて分からない
まだ人生は終わってないから
最後になってみないと…分からない
瞼を伏せるその瞬間、良かったって言えるように
隣の君と…今年も過ごしていきたい
ー俺の30回目の誕生日がせまる1月
「今回は多いな…」
「運用もいるからな…」
「席どうする?」
「適当でいんじゃね?」
新年会のでかい会場で人が溢れかえってる中
俺と待田はなんとか空いていた2つの座布団の上に座った
今年は去年とはまた違った広い座敷で、料理も豪華だった
プロジェクトがうまくいった証拠だな…
上司の挨拶が終わって、宴会が開始される
今年は泊まることにしたから俺は浴衣姿だった
もちろん、潤も泊まり
でも去年のようにはならないように酒には十分注意した
「はい、待田さん」
「おぉサンキュー」
浴衣姿の潤が隣の待田のグラスへビールを注ぐ
ビール瓶が俺の方にも傾けられてグラスを差し出した
「あざっす松本さん」
「いいえーふふ」
「ね、松本くん彼女いないの?」
「ブフッ」
グラスに口をつけたまま噴いてしまった
風呂に入ってあるのに、顔と髪にかかって…
最悪、とおしぼりで拭いた
「おいおい、変なとこ入った?」
「…ん、ごめん…」
潤は俺の方をにやりと見つめてから、待田に目線を戻す
「そのことは想像にお任せします」
「えーなんだよ気になるなー」
「大切にしたいなって人はいます」
「…それは彼女じゃないの?」
「大切な人に女も男もないですから」
「お、深いな…」
待田はちょっと感心したようにしてたけど、微妙に絡み姿勢になってるから
「…酔ってる?」
「いや?」
焦点あってねぇし…
苦笑して次の人のとこいった方がいいと潤を促した
行ってしまってすぐ
「俺ね、結婚すんの」
「ぇえ!?」
待田からのいきなりすぎる告白だった
俺の声に周囲は何事かと目を丸くする
それにすみませんと頭を下げ…
終わって隣を見ると待田が眠気に襲われてた