トクベツ、な想い
第19章 19
これは正解じゃないと思うよ
あの子が言った通り、自然の摂理に反してる
でもいいじゃん
十人十色って言うだろ?
人それぞれ、自由だ
同性愛を理解しろって言ってるわけじゃない
ただ…軽くでいい、少しでいい
蔑む目を伏せて、こういうやつもいるって
割り切って考えてくれたら嬉しい
君や、あなたの周りに大切な人はいますか?
それは恋人とは限らない
家族でも、ペットでも、愛人でもいい
いないよ、なんて言う人は
じゃあ好きなことは?
スポーツでも、勉強でも、ゲームでも
絶対に何か…好きな"何か"は存在するだろ?
みんな好きだって力を注いでるもの
俺はそれが"潤"なだけだよ
ほら、おかしいことじゃないだろ?
男っていう性別は変えられないけど
いやまぁ…手術すれば体はかわるよ?
でも中身ってさ、心の奥の奥のまた更に奥ってさ
つまり芯は…性別とか関係ないだろ?
俺は潤の芯に触れたから体は男って性別でも
受け入れられたんだと思うよ?
今…好きな人、もの、ことがない人はもしかしたらこれからかもな
人間の可能性って計り知れない…
ワクワクしながら待ってみてよ
「翔くん…?」
「…何?」
「なんか言ってた?」
「何も?」
ベッドの上で愛し合った後、寄り添う時間
潤の手が俺の頬に触れる
その指には銀色に光る指輪
俺は左手でその手をとって恋人繋ぎをする
そして潤に向けてゆっくり瞼を閉じる
唇にまた誓いが交わされる
「愛してるよ、翔くん」
「愛してる…潤…」
この想いは
最初で最後
潤にだけ向けられた
トクベツ、な想い
ーENDー