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トクベツ、な想い

第4章 4





「使い終わってからでも良かったのに…
悪い、奪い取ったみたいで」


「全然構わないですよ、たぶん櫻井さんの方が色んなページ使うと思うし」



手渡された資料をパラパラと捲って確認をしてみる


すごい…
まだ会社に入って1年だろ?
仕事できる奴だな…


感心しながらふと



「名前でいいって」


「え?」


「翔でいいって言ったろ?」


「でもここ会社だし…」


「会社だけど今ここで話してる時は2人じゃん?
こんなん誰も聞いてないだろうし…友達だろ?」



社会人って中々友達ができない
学生とは違い、また違う言葉で″仲間″ならできるんだけど…そうじゃなくて

しかも久しぶりの後輩の友達に実は結構嬉しかった



「じゃあ……翔くん…
これで企画案、頑張って…」


「おう、サンキュ潤」



戻ろうと半分ほど振り返った時、潤の顔が赤いのが横目で見えた

完全に振り返ってしまってからまた後ろを見るがもう潤はいなかった


はやっ…

…熱、あるのかな…


また呼ぶのも悪いしと自分のデスクに戻って資料をパラパラと捲る



「…あとでメッセージでも送ろうかな
風邪引いたなら俺のせいだし…そういえばメアド聞いてないな…」



ブツブツと独り言を漏らしつつ
今日の仕事をできるところまで進めていった










―残業を少ししてから帰路に着いた


ソファに座りテレビを見ながらタバコをふかしていると、潤のことを思い出してメッセージを送った

ついでにメアドも聞いてみた


するとすぐに『大丈夫です』と返信がきて
その言葉の下にはメアドが綴られていた

登録してすぐにお礼のメールをする


数分空けてきた返信には飲みの誘いが書かれていた


それを快諾して何回かメールでやり取りをし、潤は意外に絵文字が多いことを知った

俺はたまに顔文字使うくらいだし
男友達で絵文字はそんなにいないから新鮮だった



そろそろ風呂入って持ち込んだ仕事でもやるか、とお休みメールを送ってiPhoneをテーブルに置く

メールを打ちながら吸っていた2本目のタバコを灰皿に押し消した


昔はよく吸っていたタバコ

彼女がいた時はやめていたが
別れてからまた少しずつ吸い始めた


ちょっと疲れた時の息抜きと
苛々した時のストレス発散として数本吸うぐらいだった

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