トクベツ、な想い
第4章 4
テレビを消して風呂を済ませると棚からノートパソコンを出した
それをテーブルに置き
ラグとお尻の間にクッションを置いてその上に座る
パソコンを打つ音と時計の音だけが部屋を包んだ
―時計を見ると11時を過ぎていた
「んー…ふぁ…ぶっ通しでパソコン見るの辛くなってきてんな…歳だな」
後ろのソファに背中をのけ反って伸びる
よいしょっと立ち上がってキッチンの冷蔵庫を開けると、昨日の余ったお茶を出し少し飲んですぐに戻した
ついでにトイレに寄ってまたクッションに座るとiPhoneが光っていた
潤かな、と思ってきているメールの名前を見て驚く
「…みゆちゃん」
そういえばメアド知ってたな…
みゆちゃんがうちの部に来た時、
15人程しかいない男性社員がほとんどメアドを聞いていた
俺も聞いていた
でもメールは送ったことがあっても、送られてくることはなかった
内容を確認してみると食事の誘いだった
しかも指定されていた日にちは…俺の誕生日だった
「これは…」
嬉しさと不安が脳裏を駆け巡った
また仕事が手につかなくなる
データを保存してパソコンを閉じると、なんて返信しようか考えた
文章を考えていたらいつの間にか0時を回ってしまっていて
「…まだ起きてるかな…明日送ろうかな…
いや、返信なくても今の方がいいよな」
考えたあげくシンプルに
『ありがとう!もちろん行くよ』と送った
寝てなかったようですぐに返信がきた
ドキドキしながら拝見する
何がいいとか時間はとかそういう内容だった
1時くらいまでそのやり取りをしてお休みとメールを止めた
iPhoneを持ったままリビングの電気を消して寝室に入った
未だ散乱した床をうまく歩きベッドに横たわる
ドキドキが止まらなかった
テーブルランプの横にiPhoneを置いてそっと布団を被った
暗闇に目を閉じ眠りにつこうとしたが中々寝付けず
なんとか寝ようと考えれば考えるほど深みにはまってしまい
寝ても何度も起きてしまうという初恋をする少年のような行動をしてしまった…
結局寝付いたのは朝だった