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トクベツ、な想い

第4章 4






置いたらすぐに一礼して、ウェイターは下がっていった



「あ…」


「本当はもっと盛大にお祝いできるサービスとかもあったんですけど…そんなに派手なの嫌かなって思って…」



確かにそんな騒がれてもちょっと恥ずかしいな…
女の子ならいいと思うけど



「ありがとう、これで十分嬉しいよ」


「…良かったぁ…」



今日1番のみゆちゃんスマイルを見ながらロウソクの火を消した

小さく拍手をして″おめでとう″と言ってくれた


なんだかすごくほんわりとした気持ちになった



ウェイターに皿を1枚もらい
フォークで半分に切ったケーキをそこに乗せてみゆちゃんに差し出す



「え…私はいいですよ」


「俺1人じゃ食えないよ、一緒に食べて?」



赤くなりながらも受け取ってもらえた
お互いににっこりしながらケーキを完食した


ワイングラスの中の水を飲んでふーっと一息つくと、みゆちゃんが俺の方を強い眼差しで見ていた


もしかして…と慌てて座り直す



「櫻井さん…」


「ん…?」


「あの…櫻井さんが他の女の子にも優しいのは知ってます、私だけに向けられたものじゃないって…でも…その…私…」



その言葉の先を読んで、生唾を飲み込む



「…櫻井さんのことが、好きです…」



きた…

ホントに告白された…


落ち着いていた心臓の鼓動が高鳴る


返事…返事…



「あ…」


「ま、待ってください」


「…え?」


「…ご、ごめんなさい…はぁ…
今すぐに付き合って欲しいとか…そういうことで言ったんじゃないんです…

気持ちが…抑えられなくて、告白なんて初めてなんですけど…言っておきたかった、だけなんです

その…櫻井さんを好きな子はたくさんいるし
櫻井さんが好きな人も、いるだろうし…

…すごく自分勝手なんですけど…もし良いお返事が貰えるならもう少し経ってから…お願いします」



緊張に汗を浮かばせながら話すみゆちゃんに俺は口を挟めなかった


彼女からのお願いにただ頭を縦に振ることしかできず…



ここで俺もって言葉を遮ってでも言えてたら…すぐにじゃなくても後々付き合ってたことになってたのだろうか



潤に勇気をもらったのに俺からはやっぱり言えなかった

なんでこんなにヘタレなんだろうか…


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