トクベツ、な想い
第5章 5
それから少しずつ、少しずつ
潤は俺から遠ざかっていった
―あの気のせいかと思われた日から1カ月が経過した…
理由は全く分からないままに事態は悪化している
前に待田が頼んでいたものを潤が持ってきた時
頼み事ができたからと声を掛けたが見事にスルーされて
無視されてるのが確定した
そして俺に限り、頼みにも応じなくなったということも
俺がなんかしたのか…?
潤といた時のことを思い出して
あれか?あれか?と思ってみても本人に聞かないことには明確にできなくて
何に対してそんな行動に出ているのか分からない
こんな状況で直接理由を聞けるはずもなく
みゆちゃんのことも話せるわけもなく
メールは今の状況じゃ返ってこないって分かるし
定時に帰ってる姿を見掛けては、忙しいと言ってたのはやはり口だけかとうなだれ
嫌われた、そう思い
日に日にタバコの本数が増えていった
―「友達だと思ってたのに…」
なんだよ、この豹変ぶりは…酷すぎる
最近の子はこんなに気分屋なのか
部屋に帰れば眠りにつくまでひたすらテレビを見てタバコを吸う
それの繰り返し
体に悪いとかどうでもいい
一方的ないじめのような潤の態度に苛々していた
その反面、胸が締め付けられて苦しくなった
友達だと思ってたのに裏切られたショック
それとは別の切なさが入り交じって
…この感覚はなんなんだ
分からないことだらけで
苛つくんだ…どうしようもなく
俺自身にも
―前に他の人に頼んだ仕事の催促にEA部へ向かう
ホントはあまり行きたくない…
でも上司から急かされてるからと重い足を動かした
プロジェクトについて少し変更点がある
と書かれた紙を回すように言われてたのでそれも持っていった
いつも通り女の子が近寄ってくる
「えと…誰にご用ですか?」
他の人にも俺らの状況はなんとなく分かってるようで
松本くんですか?とはついに聞かなくなった
「ん、誰でもいいや
とりあえずこの紙回すように言われたか…」
紙を差し出しながら中をちらりと見た時
潤とみゆちゃんが話している光景が入ってきた