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トクベツ、な想い

第1章 1




2人で立ち上がってビール瓶を片手に部長の元へ行くと、お酌をしつつ仕事のことやら世間話を交わす


待田が部長と盛り上がっているのを置いて
EA部の部長さんと思われる人の元へ行った



お酌をしている女の子達が
やだー部長とか言ってるからたぶん大丈夫だと思うけど…



順番待ちをしている俺に気付いた女の子達が
キャーっと小さく叫んで部長さんの前を譲ってくれた


ニコッと微笑みながら女の子達に軽く頭を下げると部長さんにも会釈をして



「企画、開発部の企画チームで働かせていただいている櫻井と申します
いつもお世話になっております」



グラスに泡と液の配分を気を付けながら注ぐ



「そうか、やっぱり君が櫻井君か
噂は聞いてるよ、優秀でイケメンで
見た時すぐ分かった」


「いやいや、全然ですよ」


「まだ若いそうじゃないか…いくつだ?」


「もうすぐ29になります」



恐縮しつつ答えるとグラスのビールを飲みながら少し驚いた顔をしていた



「もっと若く見えたなー
でも20代だからまだまだ若いか
うちの部にも去年若い男性社員が入ったんだよ
私も去年移動してきたばかりだけど

女性とは違うまたキレイな顔しててね
なんか男だけど″花″って感じでな」



はははっと笑う部長さんに合わせて自分も笑うが結構酔ってらっしゃるなって心の中で思った

だって…男なのに花って
言い過ぎでしょ



「ほら、一番端の、女の子達が群がってるとこ」



部長さんがしきりに指を差すので
それに目を追わした

…横顔だけどそれでもよく分かるはっきりとした彫りの深い顔…相当なイケメンだ


これは花って言うのも…あり…?



「おーい、松本くん、ちょっとこっち来て」



部長さんがその人に向かって呼ぶとこっちを向いた


あ…正面から見ると更にイケメン

なんでだろ
あんな目立つ顔してるのに今まで全然気付かなかった

いつも決まった子しか来なかったからか…
俺が用にEA部に立ち寄ってもそんなに中も見なかったしな…


その人が女の子達に″すいません″と謝りながら俺の横に近付いてくる
少しスペースを空け、隣に座ると前にいる部長さんに視線を向けていた



「はい、何か…あ、僕お酌…」



持ってくるのを忘れたとビール瓶を探すので
俺の持っている瓶を隣の彼に渡した

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