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トクベツ、な想い

第1章 1





「これでお酌して差し上げて?」


「あ、ありがとうございます」



無邪気に笑顔を向けられて一瞬ドキッとしてしまった



少し長い前髪を横に流した全体的に爽やかなショートヘア

少し太い眉毛、はっきりとした二重に女の子かってぐらい長いまつ毛

鼻筋も通ってて高いし…真っ赤でポテッとした唇はやけに色っぽい

俺と同じくらいの背だと思うけどスタイルが良いからスーツがよく似合っている



なんというクオリティ…
モデルやアイドルと言っても過言ではない



「あの…」


「あ…」



顔をまじまじ見ていてお酌し終えたとか分からなかった

お互いに頭を下げながらビール瓶を返してもらう



「イケメンでしょ、芸能界にいてもおかしくないよなぁ?」



俺は部長さんに大いに賛同して首をブンブン縦にふった

隣で松本くんがプッと笑いだす



「ないない、ないっスよ僕なんかが
それに芸能界って色々縛られそうで…
興味もないですし」



その笑った顔を、テレビで流したら
すぐにファンができるのだろうなと思った

実際この会社の…少なくともこの会場にいる女の子はみんなファンなのではないだろうか

ファンクラブができるのもきっと時間の問題

部長さんですら、この褒めようですから



「この方のが相当イケメンですよね?」



部長さんに同意を求める松本くん



へ…俺?



いやいやと顔の前で手をふる



「どっちもイケメンだってー
この会社のイケメントップ2なんだからー」


「「えぇ!?」」



部長さんの言葉に松本くんと驚きが被った


知らなかったの?と言うような顔をする部長さんにさっき同様顔の前で手をふる

横をチラッと見れば松本くんも同じことをしていた



「女の子の間じゃ有名らしいよ
今まではずっと櫻井君が1位だったらしいんだけど
この新星がものすごい勢いで上がってきてるらしいから、櫻井君ピンチだね」



松本くんの頭をわしゃわしゃと部長さんが撫でるのを見て笑ってしまった

なんだろう、息子を褒める父親?
孫を自慢するおじぃちゃん?

そんな風に見えた



部長さんの人柄が伺える
EA部いい人が来たな



いや、もちろんうちの部長もいい人だけど!


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