トクベツ、な想い
第6章 6
熱のせいできっとそこまで食欲はなかったけど
本当においしくて夢中で食べた
食べてる間ずっと、潤は俺の傍でにこにこしながら見ていて…
恥ずかしかったけどなんか幸せな気分になった
「ありがとう、うまかった」
「どういたしまして」
市販の薬も買ってきてくれてたみたいで
俺の手に何錠か握らせると、器とレンゲを持って部屋を出ていってしまった
少し寂しい気持ちを抱きつつ
一緒に握らせてくれた新しいペットボトルの水を口に含み、薬を飲んでまた横になった
ついでに体温を計ってみたところ、朝より少し下がっていてホッとした
「潤のお陰だな…」
目を閉じるとお腹が満たされたからかすぐに眠りに落ちていく
―ふっと目が開いた
辺りは真っ暗で慣れてない目では何も見えない
手探りにテーブルランプを見付けスイッチを押すと、パッと俺の周りを明るく照らす
軽くなった上半身をゆっくり起こした
俺の太ももら辺に、ベッドの端に置いた両手の上に頭を乗せて寝ている潤がいた
「あ、れ…帰ってなかったのか…」
…いつからそうしていたのだろう
床にお姉さん座りなんて、楽な体勢じゃないだろうに
こっちに向けている顔を見ながら潤の頭を静かに撫でた
「ありがと…な」
潤が来なければこんなに早く体調は良くなっていない
まだちょっと熱っぽいが、きっと明日には治ってる
…でもこんなとこで寝てたら今度は潤が風邪引くよな
外してあったマスクをつけて
寝ている潤には悪いが揺すって起こした
「潤、潤、起きろ」
「ん…」
「こんなとこで寝たらダメだ
俺、体調良くなったから…帰って休んで?」
まだ寝惚けているようで目を擦りながら半目で俺を見ている
疑いの表情を浮かべ俺の額にある冷えピタをとった
潤の両手が俺の頬を包み、少しずつ顔を近付けてくる
ゆっくり額同士がくっつく
俺はされるがままに潤の真っ直ぐな瞳を見ながらじっとしていた
ドキドキした…
マスクをしていなければ唇が触れていそうな距離に
納得した潤が離れる
「だいぶいいですね、良かった
じゃあ僕はこれで…」
「あ…」
顔は笑っているけど切な気な目…
思わず立ち上がろうとする潤の腕を掴んだ