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トクベツ、な想い

第6章 6









「…?」



潤の動きが止まって俺を見つめる



このまま今日が終わったら…明日会社に行ったら…



また避けられるのか



俺が風邪を引いてるから同情して今の瞬間だけ優しいなんて、考えたくない


どうかこの関係も…今日で直ってくれないだろうか



「あの…さ…」



俺を見つめたままじっとしている潤


何を言おう…なんて言おう…

ダメだ、頭がぼーっとしてうまく考えられない




……………原因は何…………?




ポッと頭に浮かんだ言葉


そうだ


こんなに優しくされてまた拒絶されたとしても
理由も分からないでされてる方がよっぽど辛い


あるだけの勇気をふり絞った



「…なんで俺のこと…避けてるの…?」



潤の瞳が左右に動く

なんでそんなに動揺してるんだ



「ごめん、俺が分かってないだけなんだと思う…理由教えてよ」



腕を掴んでいる手が小刻みに震えた

なんでこんな…また避けられることに恐怖を感じてる…?

ただ1回飲みに行っただけの若い男友達に
避けられてる原因を聞いてるだけじゃないか

心臓がそこまで鼓動を上げる必要がどこにある…



「…ごめん」



そうじゃない、謝ってほしいわけじゃない



「…理由は?」


「…ごめん」


「なんで…そんな…許せないことなの?」


「そうじゃ…なくて」


「じゃあなんでっ…ゴホッ」



声をあげると喉をくすぐり、まだ治まらない咳が数回出た

俯いて息を整えるとまた潤に向き直る



「…安藤さんから話聞きましたよ
告白したけど返事が返ってこない、ダメなのかなって不安がってます」


「知って…」


「知ってます、なんか相談されてるんで
翔くんのこと知りたい、どうしたらって…

僕もそんなに知ってるわけじゃないって言いましたけど仲良さそうだからって」



あの時見た光景はそういうことだったのか…

真剣な顔をして言ってるけど
でもそれは俺を避けてる理由じゃないだろ?



「その話はいいよ…今してるのは違う話だろ」


「…なんで返事してあげないんですか…
好きなんでしょ?」


「だから…違うだろ」


「早く付き合えばいいじゃないですか」



眉間に皺を寄せ俺から視線を外した

違う…こんな話をしたかったんじゃない


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