トクベツ、な想い
第1章 1
「…そろそろ後ろもつかえてるようですので、僕はこれで失礼いたします
今年もどうぞよろしくお願いいたします」
楽しげな2人に座り直して頭を下げると
部長さんと松本くんもにこりと微笑み頭を下げてくれた
後ろでお酌の順番を待っていた人達に前を譲り立ち上がる
うちの部長と待田はまだ盛り上がっていた
…長くない?
そうは思っても止めに行くのもおかしいし
2人の横をスルーして自分の場所へ戻った
他の人にもお酌した方が良かったかな…
なんかさっきのお酌で自己満足してしまった
松本くんはインパクト強かったから顔も名前も忘れないだろうけど
他はよく頼み事をしてうちの部に来る子と
廊下ですれ違ってなんとなく顔を知ってる人…くらいか
結構長くいる癖に分からない
覚えらんないのかな…いや、覚える気がないんだ
久しぶりのこの2つの部での飲みだから行った方がいいよな…
待田も戻ってこないし
少し料理を食べたらEA部の人達のとこへお酌しに行くことにした
料理を口に運んでいると
3人の女の子達が俺の御膳の前に座った
キャッキャ言いながら1人の子が口を開く
「あの、櫻井さん…ですよね?」
突然のことに目を丸くしてる俺に構わず
頬を赤らめながらビール瓶をグラスに傾けてきた
「あ、あぁそうです
すいません…ありがとうございます」
ハッと慌ててグラスを持つ
返事はしたがこの子達が誰が誰なんだか全然分からない…
次は私とビール瓶を持つ子がかわれば
焦ってグラスの液体を半分ほど飲む
それをもう1回繰り返した
ビール、腹に溜まるな…
そろそろ焼酎いきたいと思ってたのに…
折角注いでもらっているのにこんなことを思ってしまってはダメだと
目の前の女の子達にニコッと笑顔を向ける
「ありがとう
俺も後でお酌しに回ると思うので
その時1人1人のとこお邪魔させてもらいますね」
「「「はい!」」」
声を揃えやったーと女の子同士話しながら他の人のお酌に向かっていった
「いいな、モテモテで」
「うおっ!…いたのかよ」
背後からの羨む声に肩を震わせて驚いた
振り向くと待田が去っていく女の子達を見つめていた
「イケメンは扱いが違くてイヤになっちゃうわね」