トクベツ、な想い
第7章 7
違うって何が?
このキスは何?
混乱する頭で潤の肩をバンバン叩いた
体を捩った
しかし何をしてもそれを止めてくれることはなくて
俺の行動を嘲笑うかのように舌が口の中で好き勝手に暴れまわる
小さな抵抗として動かさなかった俺の舌さえもあっさり掬われ、絡められて、徐々に力が抜けていった
「ん…っは…ふ……」
あれよあれよという間に行為はエスカレートして
何度も角度を変える度に
お互いの口から出る水音と息をする為に漏れた声が、やけに官能的に響いた
潤の顔は次第に色っぽくかわって…
なぜかその顔をもっと見てたいと思うようになって…目が離せない
外で、しかも男にキスされているのに
時折吸われる舌に体がビクビクと跳ねることも、それを嫌だと感じないことも…
そんな自分が信じられなかった
どうして…俺…こんな…どうなっちゃうんだ…
妙に気持ち良く感じるキスに思考は奪われていった
幸い周りに人はいなかった
ようやく満足したのか長いキスから解放された
「はぁ…はぁ…何、で…こんなこと…」
体はまだ密着したままだったが、大きく肩を上下させ息を整える
顔が少し熱い気がした
潤が俺を見つめる
こんなキスの後で目を合わせることが恥ずかしくて…とにかく目を泳がせた
その様子を見てかスッと俺から体を離す
「…俺はずっと、こういう風に思ってたよ
…………気持ち悪いでしょ…
これでも友達って……言えるの…?」
衝撃的だった
今起こっていること全て
潤は俺を…そんなこと考えもしなかった
…考えるはずもない、だって俺達は男同士
「…なんでくるんだよ…
折角諦めようと…忘れようとしてるのに…
だから会社も休んで…
自然に消えるつもりだったのに…」
苦しそうに顔を歪めながら話す潤は、今にも泣きそうで
アップにさせていた髪を両手で掴んで思い切り掻き回していた
「…こんなことするつもり…言うつもりだってなかったのに…
…でも、もういいよ……もう翔くんとは何でもないから……」
頭から両手を離しだらんと下げる
その乱れた髪の隙間からは、切な気な瞳が見えた