トクベツ、な想い
第7章 7
「最初は…友達としてでも側にいれただけで嬉しかったはずなのに …名前で呼んでなんて言うんじゃなかった…」
言い終わってから暗い空を仰いだ
目に浮かべたものを流れないようにしているようだった
「どんどん欲張りになって…翔くんに彼女ができるなんて当たり前なのに嫉妬して…避けたりして…最低だね…」
全ての原因は俺への想い…だったのか…
理由は分かったが釈然としない
潤の何でもない、と言う言葉が心にまた"何か"を感じさせる…
やめろ…なんでこんなに…
痛い…
「俺はそれを覚悟で想ってたはずだったのに…
もう耐えられない……いくら目を逸らしても翔くんは俺の目に映るから、会社にいたら精神的にどうにかなっちゃいそうで…」
口を半開きにしたまま何も声になって出てこない
俺はただ潤が話すのを悲しい顔で見ていた
「…どうせ…こんな話したとこで何にもならないし、叶わないし…もう終わりだ…
短い間だったけど友達として過ごせて…1回だけど飲みに連れてってもらえて楽しかった
今まで………ありがとうございました」
深々頭を下げられる
俺に顔を見られないようにか
頭を上げるとすぐ背を向けられた
どこか…俺の知らない…どこかへ足を進めていく
「…え…ちょ…」
固まって動かぬ足のかわりに伸ばした手は
ただ虚しく宙に浮くだけで
進められていく足を止める効果はなかった
なんだよ、言うだけ言って…こんなのって…
無視されてたって近くにいたのに…
待て…どこに…
どこに行く…
嫌だ………離れんなよ…
「行くなっ!!」
突然の俺の叫びに潤は背中を向けた状態で足を止めた
「…ふざけんなよ…
どうせってなんだよ…
俺は今、お前の気持ち聞いたんだぞ…」
「………言ったって、……いいんだよもう…」
「勝手に決めんなよっ……勝手に…どこも行くなよ…!」
俺の言葉に潤の肩が揺れた
「……何、言ってんの……」
「…行くなよ」
「どうして……」
「…どうしてって…離れてほしくないから…」
「それは……友達として……?」
「……分かんねぇよ…
勝手にどんどん話してくから整理できてねぇけど……とにかく離れて欲しくない…」