トクベツ、な想い
第8章 8
パソコンは無事に直った
安心してみんなが帰り支度をしだす
時刻は8時過ぎ
潤との約束は6時くらいからだった
店も予約してくれると言っていたのに申し訳ない
あらかじめ潤に"行けない"と謝罪メールをしてあったから良かったものの…
機会を改めればいいだけのことなのに、ため息が出た
会社の外に出てマンションに足を進ませていると、いつも行くコンビニから普段着の潤が出てきた
あれ…帰ったんじゃ…
「お疲れ様です、終わったんですね
直りました?」
「お疲れ…直ったけど、なんで…
俺メールしたよな?」
「きたけど…翔先輩と飲みたくて
ちょっと前からコンビニで待ってました」
「…メールしてくれれば良かったのに」
「一応仕事中だし、迷惑かなって思って」
「んなことあるかよ、俺だって飲みたかった」
潤と…なんて言ったらどんな反応するんだろうか
自分の気持ちが動いていることを伝えたら
俺への想いを殺して友達でいようとしてくれてる潤には果たして嬉しいことなのか悲しいことなのか…
迷った挙げ句、今日のところは黙っておくことにした
「店、キャンセルしちゃったんで
また買って飲みませんか?俺の部屋で」
「え…」
「……あ、いやいや…何もしないですよ?
なんなら今から入れるとこ探して…」
「いや…いいよ」
潤の部屋というワードに一瞬ドキッとしてしまった
…女子かっ
コンビニで買った酒とつまみを袋から出して
潤の部屋で飲み会を開催する
自分の部屋へは下るだけだしと
また久しぶりの酒を何缶も空けた
失敗したことは反省しているけど
どうにも緊張してしまって止まらなかった
「…ちょっと飲み過ぎじゃ…」
「大丈夫だって…」
飲みながら仕事の話をし合う
結構飲んでると思う、頭もちょっとぼんやりする
でも理性はしっかりあって酔えはしなかった
しばらくすると眠気が襲い欠伸が出た
「あれ…眠くなりました?」
「…うん」
重くなり始めた体を座っていたソファに預けようと傾ける
「ちょっ…ダメです」
腕をぐいっと引っ張られそれを阻止された
自分の勝手な解釈で
距離近いし泊まってもいいんじゃないかな、なんて思っていたが…