トクベツ、な想い
第8章 8
俺は手間だろうからいいって言ってるんだけど…作るのが好きだからって
お粥を作ってくれた時も思ったけど潤には料理のセンスがある
作って出してくれるやつはどれも美味く
結構なんでも食べれてしまう俺でも
潤の手料理は、どんな美味い店で食べるより格別だった
「ん、うまいよ」
「良かったー」
嬉しそうに笑う顔を見て俺の顔も緩んでしまう
潤も出来ばえを確かめるように食べて
まぁまぁだねって言いながら少しむせていた
苦手なくせに、俺の為に…
それが例え友達としてやってくれてることだとしても
ときめきが勝手に出てきて
潤への気持ちをキュンと締め付ける
「辛いんだろ?無理すんなよ」
「んんっ、大丈夫です
もうちょっと味薄い方が良かったかも…」
少し歪んだ顔で食べ進めながら真剣に改善点を探っているところがまた、本当に料理が好きなんだなと感じさせる
飲み食いに並行して俺の友達の話で盛り上がった
「…っでさーホントそいつ天然なんだよ」
「はは、面白いっすねー」
「面白いんだけどさーいい奴だし」
「会ってみたいなー」
「ん…会ってみる?雅紀って言うんだけど…
たぶん一緒に二宮って奴もついてくると思うよ」
「…なんでですか?」
「仲良いんだよ、何するにも雅紀がニノ呼んで
周りにはケンカに見えるようなじゃれあいでスキンシップとって…」
それを見るのが楽しかったりするんだけど、と付け足して何本目かのビールを飲み切った
「へー…じゃあ僕の友達も今度紹介しますよ」
「まじ?どんな感じの人なの?」
「どんな…んー…ミステリアスで、常に眠そうで…でもすごい才能豊かで」
「待て待て、全然想像できない」
「ふふ、ですよね
会ってみれば分かります
雰囲気は柔らかいんで、すぐ仲良くなれると思いますよ?」
潤の友達…どんな人なんだろうか
またお互いの友達に連絡を取り合って
予定が合うようだったら紹介し合う、という形でこの話は終わった
すぐに次の話題に変わる
何度飲み交わしても話の種は尽きなかった
次のビールの缶を開けようとした時
「安藤さんとはどうなったんですか?」
そう聞かれ
飲み口を半分程開けたところで指が止まってしまった