トクベツ、な想い
第9章 9
背があまり変わらない為、自然と俺の目線に潤の目があった
「だ、大丈夫ですって」
慌てて俺の腕を再び首に掛けようとするのを阻止して、見つめながらその手を掴み壁につけた
もう片方の手も静かに絡めとって同じように顔の横の壁へ当てた
また赤くなりだした潤の顔は
更に耳と首も色付かせていく
何が起こっているのかと口をぱくぱくしている
瞳を揺らして俺の顔を見る
俺もなんでいきなりこんな行動にでているのか…
酒の勢い…俺の気持ち…あの時のキス…色んなものが混ざって
わけが分からなかった
こんなこと…今までなかった
視線を下へ下げてさっき同様、唇に見入る
寝起きにした軽いキスの続きが無性にしたくて…
ゆっくり唇を重ねた
「っん…」
潤から出た声と驚いた目が俺を刺激した
腕の抵抗を力任せに押さえ付ける
力じゃ潤の方が上なのに
勝ててるってことは…嫌じゃないんだ
一生懸命、友達として居てくれてるけど…隠しきれてない
閉ざしていた上下の歯をなぞり
こじ開けながら舌を口内へ捩じ込む
潤の舌をちょんとつつくと遠慮気味に絡めてくれた
それが嬉しくて、角度を変えながら
徐々にとろんとしだした目をスパイスに夢中で貪った
部屋には俺と潤の熱い吐息と…濃厚なキスの淫らな音だけ
「…っは…しょ……」
クラクラしていた頭は次第に落ち着きを取り戻しているのに
はっきりした頭でもキスを止めようとは思わない
理性はどこかにいってしまった
ただただ今目の前にいる潤が欲しい
それだけ
愛おしい…止まらない
本能のようだった
「…ん…ふ」
「……は…っじゅ……」
「っし…なん、ダメ……」
「………っ…ヤダ」
やめたくない、離したくない…っ
もう話せないくらいに深く唇を寄せて目を閉じ潤を味わった
最後に飲んでいたワインとつまんでいたチョコの匂い
甘く、芳醇な味
堪らなく俺を興奮させる
「んっ!?……え…」
ぐるっと体が動いたと思ったら、潤の位置に自分がいた
背中に当たる壁が熱い
目の前で荒い息をしている潤が
俺の両手を持って壁にそっと押し当てた
「はぁ…はぁ…分かってやってるんだよね…?」
「へ」
「…悪いのはそっちだよ」