トクベツ、な想い
第10章 10
キメ顔をした俺に、生意気な口利きで捨て台詞を吐いた潤が
爆笑しながらリビングに逃げだした
それをすぐに追いかけてものの数秒で捕まえてやった
別に怒ってるわけじゃないけど
ここからどう成敗してやろうかと考えてみて
その場ではいい案が出てこなかったから
手っ取り早く擽ってみた
「あははははっ!」
潤はすぐに体を捻って笑いだした
ホント面白いくらいに反応がよくて
逃げ惑う体をしっかり掴み、しばらく擽り続けた
「はぁ…ははははっ、はぁ…ギブッギブー!」
疲れたとラグに倒れ込んで荒い息を吐きだす潤
俺も疲れて隣にペタリと座った
何やってんだ…
子供のような自分の行動に少し呆れた
「はぁ…はぁ…」
呼吸を整えている潤の顔を見て自然と気持ちが溢れだす
顔の横のラグに片手を置いて、ゆっくり近付き軽く唇を合わせた
「…スケベ」
「それはお前だろ…」
寝転がる潤の手が伸びてきて俺のボサボサの髪を整え始める
ある程度戻ったところで両腕が首に回された
もっと、と言うように引き寄せられて鼓動が高鳴る
数時間前のように甘くて深いキスをした
「…翔くん」
「ん…は……待って」
「ん?」
「髪濡れたままじゃん、風邪引くだろ」
背中に手を回し上半身を起こしてやって
首に掛かるタオルをとった
潤の髪をそれでわしゃわしゃ拭く
目を閉じて大人しく身を任せていた
そんなところもまた愛しいと思う
「……翔くん」
「ん、何?」
「帰っちゃう…よね?」
「あー…まぁ」
潤の部屋だしな…
そういえば泊まらないって暗黙のルールはどうなったんだ
自然と泊まっちゃったけど…
恋人になったからもう関係ないのか
余計なことを考えつつ髪を拭いていた手を止めると
乱れた髪の隙間から寂しそうな目が俺を見つめていた
まぁ…今日休みだし…呼び出しとかなければ
「いてもいいなら…いるけど」
「本当!?」
「う、うん」
「ご飯作るね!」
キラキラした顔を向けてすぐキッチンに行ってしまった
「はや…」
片手にタオルが虚しく残って
あっという間にラグに取り残された
料理に関しては手伝うだけ迷惑だなとソファに移動し
キッチンで料理する恋人を見ていた