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トクベツ、な想い

第10章 10






盛大に大きな声を出してしまった

それに2人がどっと笑いだす


キッチンの2人も内容は分かってなかったみたいだけど、俺の声に驚いてクスクスと…


俺はそんなことより、潤の友達って言うからてっきり年下なんだと

しかもかなり幼い顔してるしと本気でビックリしていた



「えー全然見えない…っすね」


「あーやめてやめて、ため口でいいよ」


「そうだよ、ため口でいいよ」


「いやいやお前が言うなよ」


「もう翔さんは本当にこういうことには頭固いなー」



ソファにうつ伏せになって足を上下にパタパタと動かしている二宮は俺と雅紀の1個下

学年も1つ違う


雅紀と小さい頃から仲が良いらしくて
俺が雅紀と友達になったら自然と一緒に遊ぶようになった

そんなニノがたまに羨ましく思うんだ


こうやって大胆なコミュニケーションで相手の懐にスッと入っていくところ

そんなことをしても嫌われるどころか相手は受け入れてしまう
その的確な話術と少年のような顔にやられる


俺もそこまで人見知りではないんだけど
その能力が欲しい



「翔さーん、翔さん」


「…ん?」


「ぼーっとしてたけど…もしかして怒った?」


「怒ってなんかねぇよ」



そう笑ってみせて
調理班の2人が作り終わるまで3人の雑談は続いた








雅紀のできたコールでテーブルに料理が置かれる

酢豚と天津飯だった


それをみんなでつついて
味の感想と意見を雅紀が真剣に聞いていた


雅紀の実家は中華料理屋で
優しいやつだから、継いで親に楽させてあげたいと修行に励んでいる

その為には努力を惜しまないから
無理をして過労で入院したこともある

一生懸命なのが誰にでも分かって
でも笑顔は絶やさない雅紀もまた羨ましい対象だった








食事を終え、何をしようかと話していると
ニノが自分のリュックからゲームをたくさん出した



「どれやる?」



散らばったソフトを見て、4人で"え?"と声を揃えた


ゲームなんて全然やってない…



「簡単なのが…いいな」


「翔くん弱気だね」


「じゃあ潤はどれでも勝つ自信あんの?」


「あるよ?」



迷いのない言葉に若さを感じてちょっとカチンときた

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