トクベツ、な想い
第10章 10
俺の提案にみんな賛同した
じゃあもっと飲むかとそれぞれにセーブを外して飲み会が開かれる
確認してないけど…みんな休みなんかな
大人だし、乗ったからには責任持てると思うけど…
「じゃあ風呂、順番に入る?」
「…翔さん…俺明日シャワー借りる」
酒に弱いニノがラグに体操座りをして眠いと目を擦る
まぁニノはしょうがない
他は俺の後に続くと言うので
寝室から着替えを持って先に浴室に行った
そんなに長く入ったつもりはないんだが
リビングに戻るとテレビを見ている潤以外が、ソファの背もたれに体を預け寝ていた
狭いから真ん中のニノに2人が身を寄せる形で
まぁなんとも可愛らしい光景
「…雅紀と大野さんまで寝ちゃった?」
「あ、おかえりー
俺も気付いたら…さっきだよ
なんか今日会ったばっかなのに本当にすごい仲良くなったよね」
「相性良かったのかもな」
「はは、そうかも」
タオルで髪を拭く俺に立ち上がった潤が近寄る
ん?と首を傾げて手の動きを止めた
「ちょっといい?」
急に腕を引かれて寝室に入った
パタンとドアが閉められ肩が揺れる
薄暗い部屋の中、両手で頬を覆われると潤の顔が近付き
壊れ物を扱うかのように優しく唇を啄まれた
しばらくそうして、最後に湿った俺の前髪を避け
額に唇が触れる
「…久しぶりの翔くん」
ぎゅうって音が聞こえるんじゃないかというくらい
きつく抱き締められた
「く…るし…」
「あっごめん」
さっと身を引いて俺の顔を心配そうに伺う
「…忙しかったから……ずっと2人で会いたいと思ってた」
潤も俺と同じ気持ちでいてくれたんだ
なんだが心がぽわっと温かくなった
「俺も…」
「え、嘘…」
「…嘘なんかついてどうすんだよ
だから…さっき、大野さんが潤の部屋泊まるって言うから…」
「…嫉妬?」
「し…っと?」
「…気付いてないの?」
うっすら笑いながら再び潤が抱き付いてきた
「あー…実感湧いてきた…」
「…まだ信じてないのかよ」
「だって…好きになった人が、男で
その人が男の俺を好きになってくれるなんて…奇跡でしょ…」
「奇跡は…言い過ぎなんじゃ…」
「奇跡だよ…」