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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 しょうがないから、一人分、チケットを買った。


「すいません、大人1枚」


「申し訳ありません、ただいま、当日券の特別リングサイド12000円しか残ってませんが……」


 高いな……まあ、そんなもんなのか?


 もらったチケットはA席指定。


 まあ、あの家政婦コンビには、このチケットで入ってもらおう。


 会場に入った。





 ガラガラじゃねえかっ!!


 パラパラしか入ってないじゃないか。


 A席って、まあまあよく見える前の方だけど、買ったの特別リングサイドって、俺の正面にはリングの青い鉄柱がハッキリ見えるんですけど……。


 リングサイドって、その意味?


 試合が見にくいっ!! もうちょい、席の並べ方を考えろよ。


 そして、30分後、いよいよ試合が始まる。


 てか、まだ、ガラガラじゃねえかっ!! 数十人ほどしかいてないし!!


 みんな、チケット買って、だふ屋に売ってんだろ!!


 だから、チケットここしか残ってなかったのか?


 まあ、誰もいないなら、席を変わろう。


 本当はダメなんだろうが、俺は水戸さんがいるA席に移動した。


 真後ろにいる若い男性二人が、なにやら話している。


「なんか、どこかで猫の死体みたいな匂いしねぇか?」


「ここ、残虐団体だから、人の肉の匂いするんだろ」



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