テキストサイズ

家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 続いて、ジャンボ尾崎。いや、尾山奇が入場してきた。


 派手な白いフワフワのガウンを羽織り、七福神の寿老人さんのようなじいさんが杖をついて……おい、死ぬぞ!!


 絶対、あの試合形式では死ぬぞ。


 いや、ひょっとしたら、ああ見えて、ものすごく強いのかもしれない。


 若い衆には負けないと、自ら、身を危険にさらし、激しい試合を第一試合で繰り広げようというのか。


 デスマッチという試合形式はたしかに、邪道だとか言われているが、見方によれば、体を傷つけてこそ、痛みを伝えられ、ヤラセではなく、本気でやっているんだと言うことが伝わる。


 中には、力とレスリングの技術がないから、アイテムに頼らないと勝てない弱いレスラーがやるのがデスマッチという意見もある。


 だが、今回、それに身を投じる選手を見てみろ。


 猪木さんや、馬場さん、天龍さんや、長州さんのように、スターにはなれなかったが、この年になるまで頑張って、歴史を築いてきたレスラーではないか。


 その勇気ある、ベテランの試合、心して見なければなるまい。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ