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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

「竹内カ選手、ジャンボ尾山奇選手は共に、この試合が、デビュー戦でございます」


 やめさせろっ!!


 おっさんとじじいが、第二、第三の人生になにを選んでるんだ!!


 てか、ここの団体、じいさんを労る気ないだろ!


 デビュー戦で、なんでデスマッチをさせる?


 リング上で向かい合う、ジャンボと竹内。


 足が震えているのが、よくわかる。しかも、ジャンボは、ダウンを着たまま。


 そりゃそうだろう。爆破を受けるかもしれないんだ。


『ゴォーーン』


 ゴングが鳴った……て、ゴングの音か?


 両者組み合った。


 離れた。


 組み合った。


 離れた。


 組み合った。


 離れた。


『パチン』


 ジャンボが叩いた。


 また組み合った。


 また離れた。


 組み合った。


 離れた。


『コツッ!!』


 竹内がゲンコツで叩いた。


 やっぱり組み合った。


 離れた。


 組み合った……て、いつ見せ場がくる!?


 1試合目の前座はわかるが、すげえ仕掛けがあるデスマッチじゃねえのか!?


 それに、まだ、リングにはなにもないだろ!? いや、出てる選手を考えれば、仕掛けを作動するわけにもいかん。


 隣を見れば、水戸さんは食い入るように見ている。


 好きなのか?




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