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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 やがて、作業服に身を包み、安全第一の黄色いヘルメットを被った男が数人出てきた。


 そして、工具を取り出し、リンクサイドに上がると、手際よくロープをはずしていった。


 えっ!? いま、仕掛けるの?


 試合はじまってるぞ?



 ジャンボが竹内を、ロープにふった。


 竹内が落ちた……て、当たり前だ。


 ロープ外されてんだぞ。


 ジャンボも下りて、場外乱闘。俺達の目の前で、渇いた音の叩きあいがはじまった。


 リング上では、ロープの代わりに有刺鉄線が張られている。


 そして、電線のようなものが絡み、ガラスが数枚セッティングされた。


 そうか、あの電線に触れると、小型爆弾が破裂し、ガラスが割れて大ダメージを受けてしまうというわけか。


 そんな激しい試合をする中高年の二人に、拍手を贈らずにはいられなかった。


『ゴーーン』


 あれ?


 なぜ、ゴングが?


「両者、リングアウトにより、ドロー!!」


 待てっ!!


 仕掛け、間に合ってないし!!


 いや、無傷はいいことだ。だけど、なんのために、有刺鉄線を張った!?



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