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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 竹内とジャンボは、一滴の汗もかかず、やれやれと言った感じで、リングをあとにした。


 リングアナがマイクを持って、リング中央に立った。


「お前ら、真面目にやれよ」


 いや、あんたが言うべきことじゃないだろ。


 たしかに、あの二人は試合をしようとしてたけどさ、年も年だし、そんなもんだろ。


「もっと真面目に、早く作業をしろよお前ら!!」


 いや、作業員に言ってるの?


 この場合、段取りの問題だよね?


「続きまして、第二試合は、撤去するのも面倒なので、このままの試合形式でやります」


 引き続き、デスマッチか。まあ、せっかく装置を組んだから、勿体ないのは、わかるが、この危険なリングに足を入れる選手がいるのか?


 おっと、水戸さんは、どんな反応をしているのだろう。


「水戸さん、どう? 面白い?」


 水戸さんは、両手を前に組んで、ホロホロと涙を流していた。


 いや、あなたの心境になにがあった?


 あの試合に、どんな感動があったのさ?


 メカも泣いている?


 初めて見たが、まぶたの下から管が出て、チョロチョロ水が出ている。


 そんな、仕組みなんだね。



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