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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 さすがに、見ているのが疲れてきた。


 俺は水戸さんに、トイレに行くと告げ、一度席を立って、会場の外に出た。


 後、何試合あるんだ?


 通路に出て喫煙所に向かう途中の壁に、対戦カードが貼り出されていた。


 俺は、立ち止まって見てみた。


「いまが、女子プロレスの48人タッグマッチ、赤コーナーvs青コーナーって、選手の名前くらい書いてやれよ!! 雑すぎんだろ!!」と思わず、口に出して言った。


 しかも、この試合がセミファイナルだ。


 次がメインて、4試合だけ!?


 こんなカスプロレスのために、俺は金を払ったの?


 よく、プロレス団体の看板だしてんな……。


 俺が喫煙所につくと、いま、行われている試合が壁掛けのテレビに映し出されている。


 テレビだと、上からの映像だからよく見える。


 タッチの交代をするとき、他の23人の腕がリングに伸びる。テレビの集団お見合いの告白タイムを、見てるようだ。


 けど、女子レスラーって言っても、あの子らだったら、俺でも勝てそうだな。


 だが、そこで事件が起こった。


 テレビから、一人の女子レスラーが騒ぎ出す様子が見られた。


「おい!! お前、どこの団体の者だよ!!」


 他団体のレスラーが、会場にいるのを見付けて、くってかかる。プロレスでは、よくあるシーンだ。



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