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家政婦の水戸

第10章 水戸さん、プロレスを見る

 いや、あれは誤解されている。


 ただ、プロレス団体のシャツを着て、覆面をつけて試合を感染……じゃない、観戦している家政婦だ。


 いやいや、ちょっと待て。二人が着ているのは……ここの団体のTシャツじゃない。


 交野市プロレスって書いてる……て、別の団体じゃないか。


 どこで買ったんだ? 


 すると、隣に座っている、若い男性が言った。


「あれ? さっき交プロ見に行った時に買ったシャツ、どこかで忘れてきたかなぁ……」


 えっ……まさか、水戸さんが……。


 申し訳ない……それは、たぶん前にいる二人じゃないかと……。


 しょうがない……俺が代わりに謝ろう。そして、その分の代金を払おう。


「あれ? なんか知らないけど、ここのパンフレットの間に1万円挟まれてるぞ? ラッキー!!」


 謝らなくていいな。


 さて、どうするか……なんか、女子レスラーの前に出て、この二人は違うんですって言ったら、一気にこのムードぶち壊しだろうな。


 すると、二人は椅子から立ち上がった。


 二人して、親指で首をかっ切るポーズをとって……なんで、あえて挑発してんだよ!!


 あんたら家政婦で、レスラーじゃないだろ!!


 いや、メカは手を出すな。存在が凶器だ。いるだけで、反則だ。試合にならない。


 いや、試合にならなくていい。素人なんだから!!



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