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家政婦の水戸

第11章 チーム水戸さんvs悶洲佗亞家政婦紹介所

 小梅はあるチラシを出した。


「実は、うちの紹介所とライバル関係にある紹介所があってな」


 繁はチラシを手に取った。


「なになに……栗壱屋家政婦紹介所」


「そこと、うちがライバルなんじゃ」


「どうライバルなんだよ。争ってる理由って、雇っている家政婦の質だろ」


「うちも、家政婦の質には引けをとらん。おい!! 入ってきなさい」


 すると、ドアが静かに開いて、青白い顔の女が入ってきた。


「はい、お呼びでしょうか、所長」


 いつの頃の美空ひばりだと言わんばかりのタキシード姿で、ニタッと笑いながら頭を下げる。


「なぁ、この人、家政婦か? 貧血で倒れて、気力だけで立ち上がったマジシャンじゃねえだろうな」


「うちの専属家政婦じゃ。九家月(くやあかり)と言う」


「まさか、俺が雇うんじゃねえだろうな。やだよ、俺はアパート暮らしだし、フリーターだし」


「誰も雇えとは言ってない。紹介しただけじゃ。ちなみに、家事全般が得意でな、料理は和洋中、なんでもあれ」


「いいじゃん。負けてないじゃん」


「ただ、夜行性でな。太陽に当たると灰になる」


「なにを飼ってんだ!?」



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