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家政婦の水戸

第1章 家政婦、その名は水戸奈津子

 文句のつけようがない。


 紗知も、美味しい美味しいと太陽のような表情で、料理を口に運ぶ。


 水戸さんは無表情で立っている。


 だが、長女の恵実は箸を持とうともしない。


「どうした? 食わないのか? うまいぞ」


 両手を下に向け、俺にも目を合わさずにツンとしている。


「この人が作ったんでしょ? なんか、気持ち悪い。臭そうだし」


「おい、恵実! 失礼だぞ」


 だが、それは俺も感じたことだ。水戸さんの手前、こっちも失礼なことを言うわけはいかない。


 とりあえず恵実には、注意をしておこう。


「水戸さんがせっかく作ってくれたんだ。美味しいから、ちゃんと食え」


 目の前では、紗知がガツガツ食っている。


 水戸さんは、無表情で見ている。ただ、どこに目が向いているのかがわからない。


 恵実は立ち上がると、テーブルを離れた。


「友達とマクド行ってくる」


「恵実っ!! 水戸さんに謝れ!!」


 俺の忠告も無視し、恵実は外に出ていった。


 どうしようもないやつだ。



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