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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

『ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚』


『おい、お前笑ってるだろ!!』


 頭を上下に振りながら、激しく笑っていた。


『お前がその笑い方をする時は、マキシマムザホルモンのライブ見てるかのように、ヘッドバンギングしてるからなぁ……おい……おい……水戸さん! 水戸さん! おーい!!』


 頭の振りすぎで、首の根元の皮膚が裂けた。


 電話を切ると、あわてて、セロテープで補強する。


 そして、ふとカレンダーに目を向けた。


 あれから何ヵ月たっただろう。


 季節は肌寒い、12月。


 2日後は、クリスマスイブだ。


『き'り゚ずと^に~げん゚か~う゚る゚(もうクリスマスか)』


 誰もいないリビングを、ジッと見る。


 いつの間にか、こんなに時間が経っていたのかと、しみじみと笑う。


『ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚ろ゚』


“ぴし”



 傷口が広がった。


 セロテープでは間に合わないので、縫い合わせることにした。


 だが、その傷口から腐敗した香りが漏れた。


 その匂いにつられ、1匹のハエが飛んできた。



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