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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 水戸さんは、傷口を押さえながら、殺虫剤を取りにいく。


 そして、噴射口を傷口に入れ込むと、そのまま発射。


 しばらくすると、ハエだけでなく、別の虫まで苦しみながら出てきた。


 再び、水戸さんの携帯電話が鳴った。


 電話は、山野家の主人、羊(よう)からだった。


『あ、もしもし、水戸さん。あのね、今日、残業があってね。僕の分の食事は用意しなくていいから。娘二人をよろしく頼むよ』


『ま゚』


 電話を切った。


 すると、玄関のドアが開いた。


 帰ってきたのは、長女の恵実だ。


『へも`(おかえりなさい)』 


 恵実は水戸さんを見て、鼻で笑う。


「なんだ、あんたか。あんた話になんないから」 


 そう言って、2階に上がっていった。


『ぬ゙(ごめんなさい)』


 恵実は、プロレスのマスクを被った水戸さんと、バイク水戸さんのお陰で、不良グループから抜け出すことができた。


 なんてことはない。二度と近付けないように、不良達に、強烈なトラウマを植え付けたのだ。


 だが、恵実は水戸さんには、心を開いていない。


 たまに話しかけると……


「なあ、今日はセグウェイいないの? あれ面白いから、あれがいてくれたらいいよ」


 生水戸さんは、変形できない。



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