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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 水戸さんは、山野家のために一生懸命やってきた。


 明日でお別れをしなくてはいけない。


 後は、メカ水戸さんがいるからいいが、本家とすれば、やはり寂しい。


 明日を過ぎれば、自分はただの屍に戻ってしまう。


 悔いが残らないように、また山野家の皆さんが、自分で良かったと言ってくださるように、最後の最後まで、やりつくそう。


 そう、心に決めた。


『ま゚ん~びき(買い物に行きましょう)』 


 水戸さんは立ち上がった。


“ピシッ”


『!』


 足から音がした。


『……』


 足を触ってみる。どうや、筋を痛めたらしい。


 でも、痛くなかった。


 なにごともなかったかのように、涼しい顔をして、玄関に出る。


 だが……歩きにくかった。


『ずそ゚な'お゚し゚(後で切って、縫い合わせましょう)』


 これは、水戸さんにしか真似ができない。


 そこに紗知が帰ってきた。


「あ、水戸さん、ただいま」


『へも`』


「あ、ひょっとして買い物?」


『ま゙』


「わぉ!! 水戸さんが来てから、毎日のご飯が楽しみなんだ。ずっと家族でいてね」



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