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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 夕方5時半ごろ。


 とある介護施設から、その日だけ派遣された、一人の家政婦が出てきた。


「ふぅ〜、施設のお手伝いは大変だぁ〜、つぐみ、後は、お願いね」


 フッと、力が抜けたように、女性の体が、カクンと揺れる。


「え……あ、もう、つばき出たんだ。もう……外に出てから抜けないでよ、倒れたら危ないじゃない」


 この女性は東つぐみ。生き霊の家政婦、末永つばきを憑依させ、違う意味の二人三脚で業務を行う。


※斗夢さんの作品「ガーディスト〜君ヲ守ル〜」のキャラクターです。斗夢さん、ありがとうございます。


 一度、水戸さんが休みをとった日に、代理で山野家に家政婦として行ったことがある。


 空はすでに真っ暗で、冷たい空気がキンキンと顔に触れる。


「うわぁ、すっかり寒くなったね。もう、クリスマスなんだなぁ……早いなぁ」


 つぐみは1年を心の中で振り返りながら、バス停に向かって歩く。


「あ、ここら辺て確か、水戸さんがお世話になってる家がなかったっけ?」 


 グルッと辺りを見回す。


「あ、そうだよここ。間違いない。何ヵ月か前に私、行ったもん。今の時間、水戸さんいるかなぁ……ちょっと行ってみようかな?」

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