テキストサイズ

家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 物語は終わるわけには、いかなかった。


「そう言えば、ねこちゃん、今日はなぜマスクしてんの?」


 大神の姿が気になったのだろう。


「今日はお月さん、丸いから、獣化してさぁ……それだけじゃなくて、少し煙たくない?」


「ん? そうかなぁ。どこかで魚でも焼いてるんじゃない?」 


 自分の存在感を押し出そうと、水戸さんは負けじと携帯に文字を打つ。


[今日は、ご主人様の家で魚……]


「いや、魚の匂いはしないなぁ……なんかいろんなものが焼ける匂いかなぁ」


 水戸さんは打ち負けた。


 だが、その答えは、すぐ現れた。


 大神とつぐみが、台車を押して、水戸さんを家まで送った時……。


 家の前に三人おばさんが集まって、ジロジロと眺めている。


『に゚ほ~ん゙の゚ぜっけ゚い(なんの集まり?)』


 水戸さんも気になってるようだ。


「なにがあったんですか?」


 つぐみが、そこで見ていた中年女性に声をかけた。


「いやね、なんか、窓が時々、赤く光ったり、なんか煙みたいなのが出てくるんだけど……ひょっとして、火事じゃないのかなって……話していたのよ」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ