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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 おばさんが携帯電話を差し出した。


「OKよ。だけど、この辺りは道が細いから消防車がなかなか入ってこれないかも……」


「でも、それしか今は頼れない」


 つぐみは不安気に、眺めていると急に膝から崩れ落ちた。


「ちょっと、大丈夫?」と大神が手を差し出した。


 すると、何事もなくすぐに立ち上がる。


「大丈夫、私が入っただけ」少し声色が変わった。


「え……ひょっとして、つばきっ!?」


 大神は、わかった。


 つぐみの体に、霊体のつばきが入りこんだのだ。


「え、あなた、なぜ入ってきたの?」


「あ、音子さん、大変、それどころじゃない! 中に、山野さんの娘さんが、二人、倒れてる」


「ええっ!!」


『っ!!』


 水戸さんは目を見開いた。


「胸騒ぎがして、つぐみのあとを付いてきてたの。そしたら、こんなことに……さっき、誰かいないか中を見てきたら、あの、お姉ちゃんの方が2階、下に妹さんがいる。二人とも、縛られてる」


 霊体のつばきは、自由に出入りすることができた。さらに、テープのようなもので口を塞がれていると言う。


「なんですって!! 中で、なにがあったのっ?」


 大神は聞くが、水戸さんは頭を横に振る。


「こうなったら、あの庭からガラスをぶち破って助けるしかない」と大神は、庭から入ろうとした。




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