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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 だが、上着の裾が引っ張られる。


 掴んでいるのは水戸さんだった。


「え、どうしたの!? 早くしないと……」


 水戸さんはカバンから、ボールペンを2本出した。


 そして、足首の裂けている部分から、ボールペンを突き刺した。


「ちょっとっ!! なにしてんの!?」


 大神とつぐみの心配をよそに、両足を同じようにボールペンで刺した。


 水戸さんは、その状態で立ち上がった。


『ぼい゚こ゚っと~(私が助けにいく)』


 足の筋が乾燥し、亀裂が入り、踏ん張りがきかずに立てなかったのを、ボールペンを使って刺し繋げた。


 やがて、周りは人が多くなり、近所の人達も次々と顔を出す。


「ちょっと、ダメよ。あなた、死んじゃうわよ」


 おばさんが止めに入る。


 水戸さんは、振り返る。


『ぞ゚ん゙び'(私は、すでに死んでますから)』


 水戸さんは玄関に立つと、1階から2階に見上げた。


『あ゙あ゙ぁぁーーーっ!!』


 突然、声を上げた。


 それを見ていた、つばきと大神は、全身に悪寒を感じた。



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