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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

 扉を開けた。


『ボファッ!!』


 炎が吹き上がる。


 小さいながら、バックドラフトが起こった。


「水戸さん!!」


 大神は駆け寄りたかったが、足が動かなかった。


「消防はまだなの?」


 つばきは一度、つぐみの体を抜け、様子を見に行った。


 水戸さんは炎に包まれ、燃え盛る室内を歩く。


 内壁と外壁は、防火素材のため、燃え移ってはいなかったが、フローリングの床に炎の広がっていた。


 キッチンに入る。


『っ!!』


 いた。


 紗知だ。両手を後ろに縛られ、口をガムテープで塞がれていた。


 流しにある鍋に水を溜め、辺りにまくと、紗知の元に歩み寄る。足には火が燃え移り、熱で、突き刺したボールペンの端が溶けはじめる。


『お゙へ~っ!!(大丈夫!? しっかりして!!)』


 包丁を取り、ロープを切ると、倒れている紗知の体を起こす。


 炎の波は、床を焦がし、水戸さんと紗知を飲みこもうと、火の飛沫を上げる。


 すでに和室も、赤い空気に覆われ、灼熱の間と変わっていた。


 水戸さんは、紗知の体を抱え、火の気が薄い所を選びながら進む。


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