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家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

『すき』


「はっ?」


 いま、なんて言ったんだ?


 俺には「すき」っと聞こえた。


 これは、なんと言っているのだろうか? ストレートにとらえるなら……まさか?


 水戸さんは、ジッとこっちを見てるようで、明後日の方向を向いている。


 でも昨日、それなりに聞こえたこともあった。


 今のが、そっちだとすると……え、昨日今日で!?


 気持ちは嬉しいとは言い難いし、どっちかと言えば、その感情だけは生み出さないでくれと、海と水戸さんに叫びたい。


 待て、俺はどういった面持ちで接すればいいんだ?


 もし、動揺して変に自分を出してしまえば、水戸さんの心を傷つけてしまうかもしれない。


 いや、それは、その言葉をストレートに受け取った場合によるだろうが、実際はなんと言っている?


 まさか、セグウェイは俺に一刻も早く会いたいからという気持ちの表しか!?


 俺は水戸さんのドンピシャだったか!?


 まいったな……水戸さんの場合は選ぶ権利の問題じゃないからな。


 紗知がやってきた。


『すき』


「あ、お父さん、水戸さんが、今日もよろしくお願いいたしますって」


「悩んでた俺の時間を返せ」



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