テキストサイズ

家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

 その横で、紗知が水戸さんの動きを真似している。


 やめなさいとは言えなかった。


 爆裂に面白かったからだ。


 だが、トイレは驚くほどピカピカになった。


 舐めても大丈夫なくらいに艶がある。


 これでビッグベンとリトルベンは寄り付かないな。う●こするのがもったいない。


「ただいまぁ〜」


 う●こ……いや、恵実が帰ってきた。


 お風呂掃除をしていた水戸さんが、ロボットのような動きで出てきた。


『げす』


 突然、水戸さんは恵実に向かって、いきなりそう言った。


 恵実はカチンときたのか「……はぁ? なんて言ったの?」と言って、突き刺すように水戸さんを見る。


 明らかに聞こえていたはず。


 水戸さんは再び……


『げす』


 恵実の表情がみるみるうちに変わった。


「ちょっと……あんた家政婦でしょっ!! 誰にむかって言ってんのよっ!!」


 恵実は水戸さんにつかみかかった。


 俺はあわてて立ち上がる。


「やめろ、恵実っ!! 興奮する前に30秒時間をくれ。紗知こいっ!!」


 俺が呼ぶと、紗知がやってきた。


「水戸さん、もう一度だけさっき言ったことを、お願いいたします」


 水戸さんは真っ正直で、恵実の顔を見据える。


『げす』


 さぁ、紗知! 正解はっ!!


「おかえりなさい、お待ちしてました」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ