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家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

「はあ? 紗知、あんたなに言ってんの?」


 そうなるのも無理はない。俺も、紗知のこの能力に気が付いたのが、昨日だったからな。


「本当だよ。そう言ってるもん」


 だが、恵実の目は疑っている。


「ねぇ、あんた言葉喋れないの? それとも、私をバカにしてる?」


 恵実はジッと水戸さんの目を見る。世間で言うガンつけだ。


 おそらく、恵実は息を止めている。みるみるうちに顔が赤くなっているからな。


『や゚ま'よた゚ん"あ゚がなぬ`うさむ゚ぬうて'なく~ふそゅも゙きる゚くつ゚いそとくお゚せのさ! つい゚め゙ね゚けさ"な'ふゅ゚まね゙ちく゚ひき』


 恵実は顔をそむけ、息をきらしている。


「紗知、こいつ、なんて言ったのよ」


「バカにしてませんだって」


「なに、この言葉の尺の差!? てか、あんた、なに人?」 


 そう言いながら、一歩ずつ下がる。


 香水の下の、隠された異臭を感じとったか?


「ねぇ、お父さん」


 こっちにきた。


「こいつにさぁ、お金払うんだったら、私にちょうだいよ。家事するからさ」


「なに?」


 恵実に小遣い以外を、払いたくないから、家政婦を頼んだんだ。



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