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家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

 恵実は掃除機をかけはじめた。


「吸引力の強いタイソンの掃除機よ。それに加えて、空気清浄をしてくれるから一石二鳥」


 水戸さんはサッシを拭いた後、窓ガラスを拭きはじめた。


 恵実は掃除機をかけ終わると、今度はテーブル、家具を拭きはじめた。


 水戸さんは、やっとテレビとテレビ台、本棚、テーブルと拭きはじめた。


 そんな水戸さんを見て、恵実が言った。


「水戸さん、家政婦でしょ。掃除遅いねぇ、もっとテキパキとさぁ、手早く出来ないの? 時間、待ってくれないよ」


 水戸さんは、その声に反応することなく、黙々と掃除をする。


 そして、ようやく床掃除。


 すべてが終わったのは、恵実が終わってから20分後だった。


 俺は次になにをさせるか、考えていた。


「よし、次は洗濯だ。洗濯はほとんど洗濯機でするから、洗濯物を半々にして、干してもらおうか」


「楽勝! 2本目ももらいだ」


 余裕綽々の顔で、水戸さんを見る。


 水戸さんは錆び付いた歯車のように、恵実の方を向いた。


「り゙よ」


 紗知が通訳する。


「じゃんけんですかって」


「だから、なんでわかるの!?」



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